数列の極限と演算

高校数学では当たり前のように四則演算と極限を入れ替えていた。しかし、極限を ε-δ 論法 (あるいは ε-N 論法) で厳密に定義したとき、本当にそのような性質は持っているのであろうか、その証明が必要となる。

数列の極限とは

今一度、数列の極限の定義とそれについて認められることを述べておく。ただし、以下では数列を $\mathbb{N}$ から $\mathbb{R}$ への写像としてとらえており、写像 $a:\mathbb{N}\to\mathbb{R}$ によって得られる値 $a(n)$ のことを $a_n$ とも書くことにしている。

定義$a:\mathbb{N}\to\mathbb{R}$ とする。ここである実数 $L$ が\[\forall \varepsilon\gt 0:\;\exists N\in\mathbb{N}:\;\forall n\in\mathbb{N}:[n\gt N\to |a_n-L|\lt\varepsilon]\]を満たすとき、$L$ は数列 $(a_n)$ の極限であるという。一方で\[\forall K:\;\exists N\in\mathbb{N}:\;\forall n\in\mathbb{N}:[n\gt N\to a_n\gt K]\]を満たすとき、数列 $(a_n)$ の極限は $\infty$ であり、\[\forall K:\;\exists N\in\mathbb{N}:\;\forall n\in\mathbb{N}:[n\gt N\to a_n\lt K]\]を満たすとき、数列 $(a_n)$ の極限は $-\infty$ である。

数列の極限は高々1つしか存在しないので、数列 $(a_n)$ の極限が存在するならばそれを\[\lim_{n\to\infty}a_n\]と表す。

上の定義より、数列 $a$ の極限が存在する場合、それを $\alpha\in\mathbb{R}\cup\{\infty,-\infty\}$ とすると\[\lim_{n\to\infty} a_n = \alpha\]と書けることになるが、このことを簡略化して\[a\to\alpha\]もしくは\[a_n\to\alpha\]とも書くことにする。

ここまでで数列を実数列として説明してきたが、この記事では実数特有の性質 (完備性) は利用していないので、この記事に書かれている主張は、有理数列についての主張として言い換えることができる。

和の極限

まず、実数の極限を持つ数列同士の和について述べる。

定理$a$, $b$ をそれぞれ数列とする。それらが実数の極限を持つとき、つまり\begin{eqnarray}\lim_{n\to\infty}a_n&=&\alpha\in\mathbb{R} \\\lim_{n\to\infty}b_n&=&\beta\in\mathbb{R} \end{eqnarray}であるとき、$a\pm b$ も実数の極限を持ち\[\lim_{n\to\infty}(a_n\pm b_n) = \alpha\pm\beta.\]

(証明) $\varepsilon$ を正の実数とすると、$\varepsilon/2>0$ であるので、$a\to\alpha$, $b\to\beta$ よりある自然数 $N_a$ と $N_b$ が存在して\begin{eqnarray}\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_a \to |a_n-\alpha|\lt\varepsilon/2 \\ \forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_b \to |b_n-\beta|\lt\varepsilon/2\end{eqnarray}である。したがって実数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ は存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば\begin{eqnarray}-\varepsilon/2\lt a_n-\alpha \lt\varepsilon/2 \\ -\varepsilon/2\lt b_n-\beta \lt\varepsilon/2\end{eqnarray}である。このとき\begin{eqnarray}-\varepsilon \lt (a_n+b_n)-(\alpha+\beta) \lt\varepsilon \\ -\varepsilon\lt (a_n-b_n)-(\alpha-\beta) \lt\varepsilon\end{eqnarray}であるので定理は満たされる。

また、一方が正の無限大に発散する場合について次のことが言える。

定理$a$, $b$ をそれぞれ数列とする。

  1. $a\to\infty$, $b\to\beta\in\mathbb{R}$ であれば $a+b \to \infty$
  2. $a\to\infty$, $b\to\infty$ であれば $a+b \to \infty$

(証明) まず 1 を示す。$K$ を実数とすると $a\to\infty$ より、ある自然数 $N_a$ が存在して\[\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_a\to a_n\gt K-\beta+1 \tag{1}\]である。また、$b\to\beta$ より、ある自然数 $N_b$ が存在して\[\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_b\to |b_n-\beta|\lt 1 \tag{2}\]である。以上より自然数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば、式1と式2より\begin{eqnarray}a_n&\gt& K-\beta+1\\ b_n&\gt& \beta-1\end{eqnarray}であるので\[a_n+b_n\gt K\]である。

2 を示す。$K$ を実数とすると $a\to\infty$, $b\to\infty$ より、ある自然数 $N_a$, $N_b$ が存在して\[\begin{array}{rl}\forall n\in\mathbb{N}:&n\gt N_a\to a_n\gt K/2 \\ \forall n\in\mathbb{N}:&n\gt N_b\to b_n\gt K/2 \end{array} \tag{3}\]である。以上より自然数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば、式3より\[a_n+b_n\gt K\]である。

負の無限大に発散する場合についてもほぼ同じ証明で同様の結論が得られる。

定理$a$, $b$ をそれぞれ数列とする。

  1. $a\to-\infty$, $b\to\beta\in\mathbb{R}$ であれば $a+b \to -\infty$
  2. $a\to-\infty$, $b\to-\infty$ であれば $a+b \to -\infty$

(証明) まず 1 を示す。$K$ を実数とすると $a\to-\infty$ より、ある自然数 $N_a$ が存在して\[\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_a\to a_n\lt K-\beta-1 \tag{4}\]である。また、$b\to\beta$ より、ある自然数 $N_b$ が存在して\[\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_b\to |b_n-\beta|\lt 1 \tag{5}\]である。以上より自然数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば、式4と式5より\begin{eqnarray}a_n&\lt& K-\beta-1\\ b_n&\lt& \beta+1\end{eqnarray}であるので\[a_n+b_n\lt K\]である。

2 を示す。$K$ を実数とすると $a\to-\infty$, $b\to-\infty$ より、ある自然数 $N_a$, $N_b$ が存在して\[\begin{array}{rl}\forall n\in\mathbb{N}:&n\gt N_a\to a_n\lt K/2 \\ \forall n\in\mathbb{N}:&n\gt N_b\to b_n\lt K/2 \end{array} \tag{6}\]である。以上より自然数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば、式6より\[a_n+b_n\lt K\]である。

無限大に発散する場合の定理では差についての証明を行っていないが、以下に述べる実数倍の極限に関する定理を使うことで引き算についての結論も得られる ($a-b$ の極限について知りたければ $a+(-1)b$ の極限について考えればよい)。また、$a$ が実数の極限を持ち $b$ が無限大に発散する場合の和の極限は $a+b=b+a$ であることと上の定理からわかる。

実数倍の極限

数列には実数倍 (スカラー倍) と呼ばれる演算がある。これの極限について次のことが言える。

定理$a$ を数列とし、$r$ を実数とする。\[\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha\in\mathbb{R}\]であれば $ra$ にも極限が存在して\[\lim_{n\to\infty}ra_n=r\alpha\]

(証明) $r=0$ の場合は $0a=0\to0$ より明らかであるので、$r\neq0$ について証明する。$\varepsilon$ を正の実数とすると、$\varepsilon/|r|\gt 0$ であるので、$a\to\alpha$ より自然数 $N$ が存在して、$N$ を超える任意の自然数 $n$ に対して\[|a_n - \alpha|\lt\frac{\varepsilon}{|r|}\]であり、したがって\[|ra_n - r\alpha|\lt \varepsilon\]である。

定理$a$ を数列とし、$r$ を実数とする。

  1. $r\gt 0$, $a\to\infty$ であれば $ra\to\infty$
  2. $r\lt 0$, $a\to\infty$ であれば $ra\to-\infty$
  3. $r\gt 0$, $a\to-\infty$ であれば $ra\to-\infty$
  4. $r\lt 0$, $a\to-\infty$ であれば $ra\to\infty$

(証明) まず 1 を示す。$K$ を実数とすると $a\to\infty$ より、ある自然数 $N$ が存在して、$N$ 以上の任意の自然数 $n$ に対して\[a_n\gt \frac{K}{r} \]であり、したがって\[ra_n\gt K\]である。

2 を示す。1のときと同様に $a_n\gt \frac{K}{r}$ であり、このとき $ra_n\lt K$ である。

3 を示す。$K$ を実数とすると $a\to-\infty$ より、ある自然数 $N$ が存在して、$N$ 以上の任意の自然数 $n$ に対して\[a_n\lt \frac{K}{r} \]であり、したがって\[ra_n\lt K\]である。

4 を示す。3のときと同様に $a_n\lt \frac{K}{r}$ であり、このとき $ra_n\gt K$ である。

積の極限

関数の積 (合成ではない) と同様に $ab:n\mapsto a_nb_n$ として数列の積を定めることができる。この演算のもとでの極限について次のことが言える。

定理$a$, $b$ を数列とする。それらが実数の極限を持つとき、つまり\begin{eqnarray}\lim_{n\to\infty}a_n&=&\alpha\in\mathbb{R} \\\lim_{n\to\infty}b_n&=&\beta\in\mathbb{R} \end{eqnarray}であるとき、$ab$ も実数の極限を持ち\[\lim_{n\to\infty}(a_n b_n) = \alpha\beta.\]

(証明) $\varepsilon$ を正の実数とすると、$\frac{\varepsilon}{2(1+|\alpha|)}>0$ であるので、$b\to\beta$ よりある自然数 $N'_b$ と $N''_b$ が存在して\begin{eqnarray}\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N'_b &\to& |b_n-\beta|\lt\frac{\varepsilon}{2(1+|\alpha|)} \\ \forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N''_b &\to& |b_n-\beta|\lt1\end{eqnarray}である。したがって、$N_b=\max\{N'_b,N''_b\}$ が存在し、任意の自然数 $n$ に対して\begin{eqnarray}n\gt N_b&\to&|b_n-\beta|\lt\frac{\varepsilon}{2(1+|\alpha|)}\\ n\gt N_b&\to&|b_n|\lt 1+|\beta|\end{eqnarray}である。また、$\frac{\varepsilon}{2(1+|\beta|)}\gt 0$ であるので、$a\to\alpha$ よりある自然数 $N_a$ が存在して、任意の自然数 $n$ に対して\[n\gt N_a \to |a_n-\alpha|\lt\frac{\varepsilon}{2(1+|\beta|)}\]である。以上より $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$N$ を超える任意の自然数 $n$ に対して\begin{eqnarray}|a_n b_n - \alpha\beta| &=& |\alpha(b_n-\beta)+b_n(a_n-\alpha)|\\ &\leq& |\alpha||b_n-\beta|+|b_n||a_n-\alpha|\\&\lt& (1+|\alpha|)\frac{\varepsilon}{2(1+|\alpha|)}+(1+|\beta|)\frac{\varepsilon}{2(1+|\beta|)} \\&=& \frac{\varepsilon}{2}+\frac{\varepsilon}{2}\\&=&\varepsilon\end{eqnarray}である。

定理$a$, $b$ をそれぞれ数列とする。

  1. $a\to\infty$, $b\to\beta\in(0,\infty)$ であれば $ab \to \infty$
  2. $a\to\infty$, $b\to\beta\in(-\infty, 0)$ であれば $ab \to -\infty$
  3. $a\to-\infty$, $b\to\beta\in(0,\infty)$ であれば $ab \to -\infty$
  4. $a\to-\infty$, $b\to\beta\in(-\infty, 0)$ であれば $ab \to \infty$

(証明) まず 1 を示す。$K$ を実数とすると $a\to\infty$ より、ある自然数 $N_a$ が存在して\[\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_a\to a_n\gt \frac{2K}{\beta} \tag{7}\]である。また、$\beta/2\gt 0$ であるので、$b\to\beta$ より、ある自然数 $N_b$ が存在して\[\forall n\in\mathbb{N}:\;n\gt N_b\to |b_n-\beta|\lt \frac{\beta}{2} \tag{8}\]である。以上より自然数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば、式7と式8より\begin{eqnarray}a_n&\gt& \frac{2K}{\beta}\\ b_n&\gt& \frac{\beta}{2}\end{eqnarray}であるので\[a_nb_n\gt K\]である。

2 を示す。実数倍の極限の定理より $b\to\beta\lt 0$ から $-b\to-\beta\gt 0$ がわかる。したがって 1 より $-ab\to\infty$。再度実数倍の極限の定理より $ab=-(-ab)\to -\infty$。

3 を示す。実数倍の極限の定理より $a\to-\infty\lt 0$ から $-a\to\infty$ がわかる。したがって 1 より $-ab\to\infty$。再度実数倍の極限の定理より $ab=-(-ab)\to -\infty$。

4 を示す。実数倍の極限の定理より $a\to-\infty\lt 0$ から $-a\to\infty$ がわかる。したがって 2 より $-ab\to-\infty$。再度実数倍の極限の定理より $ab=-(-ab)\to \infty$。

定理$a$, $b$ をそれぞれ数列とする。

  1. $a\to\infty$, $b\to\infty$ であれば $ab \to \infty$
  2. $a\to\infty$, $b\to-\infty$ であれば $ab \to -\infty$
  3. $a\to-\infty$, $b\to-\infty$ であれば $ab \to \infty$

(証明) まず 1 を示す。$K$ を実数とすると、$K'=\max\{1,K\}$ が存在し、$a\to\infty$, $b\to\infty$ より、ある自然数 $N_a$, $N_b$ が存在して\[\begin{array}{rl}\forall n\in\mathbb{N}:&n\gt N_a\to a_n\gt K' \\ \forall n\in\mathbb{N}:&n\gt N_b\to b_n\gt K' \end{array} \]である。以上より自然数 $N=\max\{N_a,N_b\}$ が存在し、$n$ が $N$ を超える自然数であれば、式3より\begin{eqnarray}a_nb_n&\gt& K'^2 \\ &\geq& K\end{eqnarray}である。

2 を示す。実数倍の極限の定理より $b\to-\infty$ から $-b\to\infty$ がわかる。したがって 1 より $-ab\to\infty$。再度実数倍の極限の定理より $ab=-(-ab)\to -\infty$。

3 を示す。実数倍の極限の定理より $a\to-\infty$ から $-a\to\infty$ がわかる。したがって 2 より $-ab\to-\infty$。再度実数倍の極限の定理より $ab=-(-ab)\to \infty$。

実数倍の極限は、ここで述べた積の極限の特別な場合である。実際、実数倍と積の定義より、数列 $b$ の実数倍 $rb$ は、定数列 $a:n\mapsto r$ と $b$ の積に一致するので、この積 $ab$ の極限は実数倍 $rb$ の極限に一致する。

商の極限

$a$ を数列とする。数列 $b$ が $n\gt N$ に対して $b_n\neq 0$ を満たす場合、$n\gt N$ に対して $n\mapsto a_n/b_n$ となる数列 $a/b$ の極限を論じることができる。そこで、これを商の極限と呼ぶことにし、それについて論じる。それにあたって、まずは $1/b$ の極限について考える。

補題$b$ を数列とし、$N_0$ を自然数とし、$n\geq N_0$ ならば $b_n\neq 0$ であるとする。

  1. $b\to\beta\in\mathbb{R}\setminus\{0\}$ であれば $1/b\to1/\beta$
  2. $b\to\infty$ であれば $1/b\to 0$
  3. $b\to-\infty$ であれば $1/b\to 0$

(証明) まず 1 を示す。$\varepsilon$ を正の実数とすると、$\frac{|\beta|^2\varepsilon}{2}\gt0$, $|\beta|/2\gt 0$ であるので、$b\to\beta$ より自然数 $N_b$, $N'_b$ が存在して、任意の自然数 $n$ に対して\begin{eqnarray}n\gt N_b&\to&|b_n - \beta|\lt \frac{|\beta|^2\varepsilon}{2}\\n\gt N'_b&\to&|b_n - \beta|\lt \frac{|\beta|}{2}\end{eqnarray}であり、$N=\max\{N_0,N_b,N_b\}$ が存在する。ここで $n$ は $N$ を超える任意の自然数であるとすると\begin{eqnarray}|b_n - \beta|&\lt& \frac{|\beta|^2\varepsilon}{2} \\ \frac{1}{|b_n|}&\lt& \frac{2}{|\beta|}\end{eqnarray}であるので\begin{eqnarray}\left|\frac{1}{b_n} - \frac{1}{\beta} \right| &=&\left|\frac{\beta-b_n}{b_n \beta}\right|\\&=& \frac{1}{|b_n|}\frac{1}{|\beta|}|\beta-b_n|\\&<& \frac{2}{|\beta|}\frac{1}{|\beta|}\frac{|\beta|^2\varepsilon}{2}\\&=&\varepsilon\end{eqnarray}である。

2 を示す。$\varepsilon$ を正の実数とすると $b\to\infty$ より、ある自然数 $N_b$ が存在して、任意の自然数 $n$ に対して\[n\gt N_b \to b_n\gt \frac{1}{\varepsilon}\gt 0 \]である。このとき $N=\max\{N_0,N_b\}$ は存在し、$N$ を超える任意の自然数 $n$ に対して\begin{eqnarray}\left|\frac{1}{b_n}\right|&=&\frac{1}{b_n}\\&\lt&\varepsilon\end{eqnarray}である。

3 を示す。実数倍の極限の定理より $b\to-\infty$ から $-b\to\infty$ がわかる。また $n\geq N_0$ であれば $-b_n\neq 0$ であるので 2 より $-1/b\to0$。再度実数倍の極限の定理より $1/b=-(-1/b)\to 0$。

この補題と積の極限についての定理を使えば $a/b$ の極限もわかる。

定理$a$, $b$ を数列とし、$N_0$ を自然数とし、$n\geq N_0$ ならば $b_n\neq 0$ であるとする。

  1. $a\to\alpha\in\mathbb{R}$, $b\to\beta\in\mathbb{R}\setminus\{0\}$ であれば $a/b\to\alpha/\beta$
  2. $a\to\alpha\in\mathbb{R}$, $b\to\pm\infty$ であれば $a/b\to 0$
  3. $a\to\infty$, $b\to\beta\in(0,\infty)$ であれば $a/b\to\infty$
  4. $a\to\infty$, $b\to\beta\in(-\infty, 0)$ であれば $a/b\to-\infty$
  5. $a\to-\infty$, $b\to\beta\in(0,\infty)$ であれば $a/b\to-\infty$
  6. $a\to-\infty$, $b\to\beta\in(-\infty, 0)$ であれば $a/b\to\infty$

(証明) まず 1 を示す。補題より $b\to\beta$ から $1/b\to1/\beta$ がわかる。したがって積の極限の定理より $a/b \to \alpha/\beta$。

2を示す。補題より $b\to\pm\infty$ から $1/b\to 0$ がわかる。したがって積の極限の定理より $a/b \to 0$。

3を示す。補題より $b\to\beta\gt0$ から $1/b\to1/\beta\gt0$ がわかる。したがって積の極限の定理より $a/b \to \infty$。

4を示す。補題より $b\to\beta\lt0$ から $1/b\to1/\beta\lt0$ がわかる。したがって積の極限の定理より $a/b \to -\infty$。

5を示す。補題より $b\to\beta\gt0$ から $1/b\to1/\beta\gt0$ がわかる。したがって積の極限の定理より $a/b \to -\infty$。

6を示す。補題より $b\to\beta\lt0$ から $1/b\to1/\beta\lt0$ がわかる。したがって積の極限の定理より $a/b \to \infty$。

数学  2018/05/17  k.izumi